幸福のすみか |
歌詞を読んでいるだけですごい、というポップソングはあんまり無いと思うのですが、このアルバムは歌詞だけで結構すごいです。飛ぶ人は落ちるし、夢が見たいけど見たい夢はないし、まさおは動くので動物です。この圧倒的な歌詞が無機的な声で歌われます。ぜんぜん感情がこもっていないので歌詞の持つ意味が不気味に屹立します。決めた今日から、私は鼻を見る。というようないびつさが、いびつなまますとん、と置きっ放しにされます。 でも、音はいびつとは言い難い、落ち着いた、透明な、澄んだ音です。羅針盤の厚い音よりもシンプルな、ドラムとベースとギターの音です。でも、羅針盤に無い何かがあると思わざるを得ません。エフェクトのかからない、むき出しの、細いギターの音からは脆弱な印象を受けますが、でも落ち着いたステディなリズムと共に、なにか確信めいた強さも感じさせられます。自己憐憫とか社会意識とか、そういうなんか鬱陶しいものを超越したところで鳴っている音のように聴こえます。とても、きれいな音です。 『そら』は二人の持つ毒を全く感じさせない、五月の青く抜けた空の下で芝生に寝転びながら聴きたいまっとうな名曲です。こんな曲がころん、と後ろのほうに落ちていて、他の曲との違和感を全く感じさせません。やっぱり相当な名作だと思います。あらゆるいびつさを包み込んで、あらゆるシニシズムを通り過ぎて、このひとたちは案外ほんとうに、まっとうに、幸福のすみかについて考えているように見えます。 |
PHEW |
発売当初は丁度ドイツ系のプログレッシブロック全盛の時代でもっと難解なバンドが沢山いたので普通に聞いていたが、誰でも薦めるアルバムではない。今聴くとおもしろいかもしれない。当時このようなアプローチは、当時彼女くらいだったような気がする。あの音程の不安定さは、カンのボーカルだったダモ鈴木に通じるものがある。 |
ヴュー |
「おもてをあげよ、えりたかく」
「いどめ、めざせ、せいいっぱい」 「てんよりてんへのぼれ」 「らんらんと殺意、血みどろの葉月」 「いのちしらずのさつきばれ、みなごろしのみどり」 「いまこそしたたかはねあがり、そしてゆるりとしんでゆけ」 その言葉、ひとつ、ひとつ、の重さ。 絶望の中に希望はある。 そう思わせさえする、伸びやかな声。 暗く、爽やかな、力のある、混沌とした世界。 生きることへの絶望。 消えていくことへの絶望。 生きるための希望。 消えていくことへの希望。 生死を超えた、音楽は鳴り続ける。 |
フュー・グッドメン【字幕版】 [VHS] |
ブロードウェイでロングラン上映されたアーロン・ソーキン原作の戯曲の映画化です。出演者はトム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、「24」のキーファー・サザーランド、「エージェント」のキューバ・グッディングJrです。トムが演じるのは、どんな事件も法廷に持ち込む前に取引で終わらせる海軍の弁護士です。そんな弁護士がキューバの海軍基地で起こった殺人事件を担当することになります。その事件は軍隊のしきたり「コードR」が深く関係しています。法廷でのトムとジャックの対決は鬼気迫るものがありました。 |
ア・フュー・グッドメン【字幕版】 [VHS] |
俺には、単純明快でピッタリと来た。 とにかくラストが |
ア・フュー・グッドメン [DVD] |
法廷劇はアメリカ映画のもっとも得意とする分野で面白い作品が過去にも数多く、この映画もケビン・ベーコンの検察側とトム・クルーズの弁護士チームの丁々発止のやりとりが面白く最後まで目が話せない展開だった。ただし、ラストのジャック・ニコルソンとの対決の落としどころが理詰めではなく、罠を仕掛けて感情的にキレさせるという手段だったのは残念。
出演者がかなり豪華だったが、トム・クルーズとデミ・ムーアという当時のトップ・スター同士の競演でありながら、2人のロマンスを安易に入れなかったことは好感が持てる。(最初に見た時は、何時、ラブ・ロマンスの方向に走っていくのかと別の意味でハラハラしたが)ジャック・ニコルソンは圧倒的な存在感で、最後の法廷での第一線の部隊を率いる士官としての発言はある意味感動した。その他、ケビン・ベーコン、キーファー・サザーランド、J・T・ウォルシュ、キューバ・グッテンバーグJr、ノア・ワイリー(ERのカーター先生)なども適役で、多彩な顔ぶれだったが、もっとも印象的だったのはトム・クルーズを補佐するケビン・ポラックで、もうけ役でもあり上手く演じていたと思う。 ただ「ザ・ファーム」もそうだったけれど、トム・クルーズが演じる一流大学での優秀なお坊ちゃま弁護士が難事件に立ち向かって、成長していくというキャラクターの設定はマンネリ化しつつあるし、いくらお坊ちゃま弁護士でも、ろくに仕事をしないで昼間から野球の練習しているのはどうかと思う。(確かに映画の中でのクルーズはバッティング・フォームを見る限り、恐ろしく野球が下手そうで練習は必要そうだが) 悪い作品ではないけれど、最後の決着の付け方と、出演者の中でクルーズだけが浮いてしまっているように感じたので★1個減点としておきます。 過去の多くのレビューで言われているように冒頭の見事な銃さばきは凄い。私もこのシーンは何回も繰り返し見ています。 |
ア・フュー・グッドメン [DVD] |
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