 則天武后と玄宗皇帝 (PHP文庫) |
唐の高宗の皇后である則天武后とその子孫たちの物語。唐の女禍の時代について、さまざまな人の利害を絡ませながらうまく描いたと思う。とりわけ、中宗や睿宗のようなマザコン天子は小説で扱われることは稀であり、とても良い着眼だったと思う。 |
 則天武后―女性と権力 (中公新書 (99)) |
俗に言う「中国５千年」の歴史は、呂后や西太后などをはじめとして、存在感が極めて大きい女性たちによって鮮やかに彩られています。しかしながら、この長いながい歴史の中で、曲がりなりにも女性の身で皇帝の位を手にしたのは、実は則天武后ただ一人に過ぎません。また、世界中を見回してみても、女帝・女王の類は珍しくありませんが、女性が自ら一王朝を創建した例は殆ど見当たらないのではないでしょうか。
彼女は、唐高宗の寵を基盤として後宮での勢力を養い、やがて表向きの政務をも壟断し、ついには武周革命によって天位を極めるに至ります。実質的な執政期間は30年を超え、その治世は政界人事の刷新と文化の興隆をもたらします。本書は、その過程を活き活きと描き出し、則天武后や彼女を取り巻く様々な人々の人間像、そして唐朝勃興期の時代的な雰囲気を分かり易く伝えてくれます。 古来、なにかと毀誉褒貶の絶えない則天武后ですが、これも彼女の存在感の巨大さや政治手腕の卓越振りを反映したものと思います。人間に対する評価は、その時代・その社会における倫理観・価値観・文化的背景の産物であり、本質的にたいへん難しい要素を孕んでいるのだと思います。果たして彼女を目して「天下の悪女」と評すべきか、あるいは「空前の女傑」と断ずるべきか、本書を一読して思いをめぐらしてみるのも一興かと思います。 |
 女帝 わが名は則天武后 |
この本を読むまでは、冷酷な恐い人という認識しかありませんでした。
男性優位な中で皇帝になった則天武后の歴史は、その後にまた陥る男尊女卑の思想の中で書きかえられ、歴史的資料も偏見に満ちたものだったそうです。 読んでいて可哀想になりました… 歴史を見る目が変わる一冊でした。 |
